土を使わない観葉植物は手軽に緑を楽しめる魅力があります。水やりなどの手間が少なく、忙しい日常でも簡単に管理できるため、現代のライフスタイルに最適な方法です。
インテリアに観葉植物を取り入れたいけど、土や虫は苦手という方へ向けて、この記事では土を使わない植物の育て方を解説します。
土を使わない魅力
土を使わずに観葉植物を育てることを”ハイドロカルチャー”といいます。ギリシャ語の「水」を意味する「ハイドロ」と「栽培」を意味する「カルチャー」を組み合わせた言葉のようです。
ハイドロカルチャーの魅力は、清潔さと管理の手軽さにあります。土を使わないため、虫が発生しにくく、室内が土で汚れる心配はありません。水が抜けない底に穴が空いていない容器で育てるので水やりの頻度が少なく済みます。受け皿も不要なので、設置場所の自由度が高くなりますね。
置く場所の自由度が高いことは、インテリアとしても優れているポイント。臭いもほとんどしないので、ダイニングテーブルの上や、ベッドサイドに置くこともできます。部屋の中でおしゃれに植物を楽しむことが出来ますね。ただし、長く楽しむ為には、適度に日が差し込む風通しの良い場所に置くことがポイントです。
土の代わりに使うもの種類
ハイドロボール
粘土を高温で焼き上げた丸い粒状のもの。無数に空いた小さい穴が、空気を含み植物の生育を助けます。底の空いていない容器を利用し、1/5〜1/4程度水が溜めるようにします。定期的に水を入れ替えます。(ガラスの容器や、水位計を使うのをお勧めします)
セラミス
特定産地の粘土を特許技術で燃焼させて作った製品です。粒自体の吸水性、保水性が優れており、洗って何度でも使えるのも魅力です。粒に水を含ませて使います。水が溜まるほど与えると過剰になってしまい根腐れの原因になります。水やり頻度は、セラミスが乾いてきてからでOK。目に見えてすぐわかるので、判断のし易さでも優れています。
ゼリーボール
高吸収性ポリマーで出来ており、水を含むと膨らみます。様々なカラーのものが販売されているので、インテリアに合わせて選ぶ楽しみがありますね。ただ、摩擦が少なく、植物を固定するのが難しく、小さい植物で利用するのがお勧めです。とはいえ、固定するのに飾り石を利用するなど工夫が必要な場合があります。
ゼオライト
ハイドロボールやセラミスと同じく、小さい穴が空いた天然石です。セラミス同様の使い方ができるうえに、消臭効果や水質浄化作用がある為、園芸店で根腐れ防止剤として売られていたり、アクアリウムのろ過材として使われたりとメリットの多い優れた材料です。
土を使わない観葉植物の育て方の基本
毎日水やりをする必要はない
水捌けが大事とされている土での栽培とは違い、水を蓄えて育てる水耕栽培に近い育成方法の為、すぐに土が乾いてしまうことはありません。その為、毎日の水やりは過剰となってしまい根腐れの原因になってしまいます。植物は水分を取り込む為に根を伸ばしますので、適度に水を減らす必要があります。
定期的に水は入れ替える(ハイドロボール)
ハイドロボールでの栽培では水を溜める必要がありますが、ずっと同じ水を溜めておくと水が腐ったり、根腐れの原因になります。病気になってしまうことも考えられますので最低でも週に1度は水を変えるようにしましょう。
基本的に乾いてから水を与えるでOK(セラミス・ゼオライト)
セラミス・ゼオライトは水を石自体が蓄えるので、石が乾いてきたタイミングで水やりするのがベストです。表面が乾いてきただけですぐに与えては過剰になってしまうことがあるので、表面が乾いてから数日たって与えるくらいでちょうどいいです。少し水が足りない時期があれば植物自身が根を伸ばして水分を吸収してくれます。
直射日光は当てない
基本的にハイドロカルチャーに向いている植物は日差しを必要としない、日陰で育てられる種類のものです。セラミスなども室内での栽培を前提とした製品ですので日差しを受けることを考えていません。直射日光で植物を植えている容器自体が温まってしまうと、熱がこもり根が温められてしまいます。根は熱に弱いので根腐れを起こしたり、枯れてしまう原因となります。また、容器の中でカビが生える原因にもなりますの注意が必要です。
風通しを意識する
植物は風通しの良いところで育てましょう。植物の原生地を想像してください。自然界に風が吹いていない場所はなかなかありません。カビ対策にもなりますので意識しましょう。
基本的に肥料は必要ないが与えてもOK
土での栽培と比べると、成長はかなり緩やかです。それがメリットでもありますが、少しは大きくなって欲しいと考えているなら液体肥料を与えてもいいかもしれません。ですが、与えすぎは禁物です。ハイドロカルチャーに肥料は基本的には必要ありません。
元気がない時は肥料ではなく、”活力剤”
気をつけていても、水の与えすぎや、日照不足(逆に当てすぎ)、気温が低すぎた、等の理由で植物の元気がなくなってしまうことがあります。葉が変色したり萎びてきた時には肥料ではなく”活力剤”を与えるようにしましょう。弱っている植物に肥料を与えると逆に更に弱ってしまうことがあります。弱っている人へステーキを与えないように、弱っている人へ与えるのは栄養ドリンク程度にしておこうというわけです。
ハイドロカルチャーを取り入れたインテリア例
サイドボードの上にアクセントとして
水受け不要で臭いもないハイドロカルチャーは、日当たりも気にする必要がないのでサイドボードのインテリアのアクセントとして最適です。上記で解説した管理の簡易さに加えて、穴が空いていない容器でいいので、街で見つけたおしゃれな容器でコーディネートが自由にできるのが最大のメリットです。
リビングやダイニングに大きい植物をおきたかった方へ
虫の心配や土の臭いが嫌で大きい植物を避けてきた方へ朗報です。大きい植物は土じゃなきゃダメと思われがちですが、大丈夫です。私の家では140cm程度のパキラをセラミスで育てています。リラックスしたい空間に好みの植物を配置するとインテリアのレベルがワンランク上がります。
キッチンや洗面所においても良い
水回りに植物をおくのはモデルルームのお決まりですが、実際問題は、衛生面を考えると土を入れるのは嫌で避けてきた方は多いと思います。そんなお悩みもハイドロカルチャーが解決します。
寝室に緑をプラスしてリラックス空間に
土の臭いを気にせず、緑だけを楽しむことができます。鉢の土の上に被せるマルチング材に”ひのき”のものを選べばひのきの香りで安眠効果をアップすることもできますよ。
メンテナンスと長く楽しむコツ
植え替え
ハイドロカルチャーでは植物の成長は緩やかですが、しっかりと成長していきます。最初に植えた鉢が小さくなってしまうこともありますので、土での栽培同様に植え替えをする必要があります。頻度としては植物によって違うとしか言いようがありませんが、明らかに植物の大きさに対して容器が小さく感じたら植え替えをしても良いと思います。植物の植え替えには寝付か無いという失敗のリスクがありますが植物によって適切な時期などがありますので、それらを確認することでリスクを減らすことができます。思いつきでやるのではなく計画的に進めることを忘れずにいましょう。
剪定(枝葉を切り落とす)
植物は成長し続けます。枝が伸びて樹形が変わってしまったり、葉が増えすぎてもっさりした印象になってしまいます。そこで、形を整える為にも剪定をします。剪定には、葉を間引いて葉がしっかりと光を吸収できるようにする役割もありますので、1年に一度は行うようにしましょう。また、剪定にも植物によって適した時期がありますので確認するようにしてください。
材料を揃えよう
ハイドロカルチャーの実践方法と取り入れ事例を確認したら最後は実際に作成するステップです。おさらいとして必要な材料を確認しておきましょう。
植える植物
まずはお気に入りの植物を見つけましょう。ネットで探してもいいですね。参考までに育てやすい種類としては、「パキラ」「ガジュマル」「ポトス」「サンスベリア」などが有名です。
植えるための人工土
土の代わりになるものです。この記事で紹介した物は「ハイドロボール」「セラミス」「ゼリーボール」「ゼオライト」です。「ゼオライト」はどの材料を使うにしても、水質維持の為に目立たない程度に少量いれるのをおすすめします。容器の底に薄く敷くだけでOKです。
植えるための容器
植えたい植物の苗が決まったら、鉢になる容器を探しましょう。苗の大きさより2周りくらい大きいものを選ぶと作業もし易いですし、植え替えの期間を伸ばすことが出来ますよ。大きすぎる容器はNG。見栄えも悪いですし、水加減が難しくなります。
購入先はこちらがおすすめ
ホームセンター
ホームセンターでは、各社インテリアグリーンに力を入れています。今までのホームセンターはガーデニングのイメージが強く、室内で育てる観葉植物の品揃えはあまり多くはありませんでした。ですが、DIYブームでインテリア興味を持つ人が増え、その波は観葉植物まで広がりました。今では、ハイドロカルチャー用の苗まで販売されています。特にカインズはインテリアグリーンに力を入れています。コンパクトな苗から、高さが120cmを超える大型の木まで幅広く品ぞろえています。
ハイドロカルチャーで使う、「ハイドロボール」「セラミス」「ゼオライト」などもプライベートブランドで展開しており、種類も豊富でお買い得な価格で購入することが出来ます。苗も材料も容器もすべてそろいます。
ネットで好みの植物を見つけたら、ホームセンターで一式揃えてしまいましょう。
100円均一(ダイソーがおすすめ)
おそらく、観葉植物ブームの火付け役はダイソーです。100〜300円で様々な植物の苗が購入できます。それに加えて、おしゃれな容器が100円で選び放題です。以前は材料となる「ハイドロボール」や「ゼオライト」も販売されていました。私は見かけていませんが、店舗によっては取り扱っているかもしれません。一見の価値ありです。
ネットでポチる
もちろんネットでポチることも出来ます。材料に関しては買いに行く手間が省けるのでそれほど割高にならずに購入できますが、苗と容器に関しては店舗で購入するより高くなる場合が多いですね。近くにホームセンターがない場合や、大荷物になるのが嫌な方は、苗と容器はお近くのダイソーや3COINS等の雑貨屋さんで手に入れて、培養土だけをネットで購入するのがいいですね。
まとめ
ハイドロカルチャーは衛生的で管理が楽な、メリットがたくさんある植物の栽培方法です。土や虫が原因で観葉植物を取り入れられて無い方は、ハイドロカルチャーからインテリアグリーンに挑戦してみるのはいかがでしょうか。
手間のかかるメンテナンスは年に一度あるかないかの簡単さです。育てているうちに愛着が湧いて苦になら無いと思いますよ。材料はお近くのホームセンターやネットで揃えることができます。ぜひこの機会に始めてみることをお勧めします。
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